探究1 柄谷行人 1992 講談社学術文庫

探究1

探究1


 「他者」との非対称的な関係について「教える-学ぶ」を例にして書いている。それは「売る-買う」と同じように成立するためには「命がけの飛躍」が必要である。この論理で柄谷が明らかにしたいのは、一つには「共同体的」と「社会的」の差である。同じ言語ゲームを共有する共同体の論理と、命がけの飛躍が必要な他者との関係としての社会である。


 共同体の論理から始まる思考に「独我論」がある。自分に妥当することは万人に妥当するという仮定から始まる思考である。


 私たちは、自我をもつがゆえに、そして他人にも自我を認めるがゆえに独我論に陥る。しかし、他者にはそれが通用しない。自分の中に共同体と他者を認めるとき、論理は次に進まざるを得ない。唯一者としての自分である。



Tue Sep 25 22:21:50 2001