「家族」はこわい-母性化時代の父の役割 斎藤学 1997 日本経済新聞社

「家族」はこわい-母性化時代の父の役割

「家族」はこわい-母性化時代の父の役割


 現代日本における家族の状況に関する実践的な対処の本である。家庭内暴力や、拒食症、過食症等を家族から分析している。日本特有ともいえる家族内での人間関係を明らかにし、親の役割、母の役割、父の役割を明らかにする。


 本来、祖父母等がアドバイス役や、クッションの役割をするべきであろうが、核家族化の中で、それは期待できない。また、社会状況の急激な変化が、それを無効にしている。


 本来は、そのような家族状況を生む社会を問題視するべきであるかもしれない。しかし、社会が自動的に変わるわけではない。その社会を構成している一人一人の父親や母親が変わることが必要なのである。


 子供を持つものにとっては、痛烈な警告の本であるが、筆者のいいたいのは悲観するのではなく、一所懸命生きること。父親も会社や、妻の庇護に甘んじることなく、日本社会の常識からくる役割を担うだけでなく、自分らしく、人間らしく生きることなのではないだろうか。