東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ 2000 筑摩書房

東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ

東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ



タレントの遙洋子が3年間東大で上野千鶴子の講義・ゼミを体験した経験を1冊の本にしたものです。

学問とは何かを考えさせてくれます。特にフェミニズムに関する学問、あるいは社会学は人間に関するすべての分野と関わっています。そのため遙さんは、仕事をしながら膨大な、そして難解な文献と戦うことになります。しかもそれが「学問」ではなく単なる「知識」に過ぎず、本当の学問はそれを基礎とし、それに書かれていないこと、あるいはおかしいと思うことを批判して、自分の理論を構築していくことなのです。

(少なくとも)今の社会は国家を中心としたイデオロギー装置の中にいます。それを「おかしい」と思わない人には学問をする資格がないでしょう。「普通」「当たり前」という言葉こそその装置に絡め取られていることを証明するようなものです。「普通」「当たり前」を相手にして論争するとき、それはその相手ではなく、世界と論争することになります。

どういう形で「普通」でもなく「当たり前」でもない側は論争するのか、それは人それぞれの方法があると思います。

この本は、フェミニズムの入門書としてもとてもわかりやすいし、学問とは何かを知ることもできるとてもいい本だと思います。

フェミニズム運動が始まったのは、私は明治以前だと考えています。人間が自分の生に、体に関心を持ったときからそれは始まっているのです。

女性学だけでなく、男性学も必要だと今考えているところです。イデオロギー装置にとらわれているのはむしろ男性の方で、哲学から始まるあらゆる学問を、そして自分の生活を批判していく必要があります。男性にも自分が思っていることを自由に言う権利があり、それを禁止する「もの」と戦っていかなければなりません。