増補 憲法は、政府に対する命令である (平凡社ライブラリー)  C.ダグラス ラミス著 (2013/08/09)

増補 憲法は、政府に対する命令である (平凡社ライブラリー)2006年に発売された本の増補版である。

内容はタイトルのとおりであるが、多くの国民が、憲法は基本的人権や、戦争放棄の内容が描いてあることは知っていても、誰が、誰に対して 制限・禁止を定めているのか、誰に対して人権の用語を義務付けているのかを知らない人が多いのではないだろうか。

憲法を読んだことがない人が多いことは現実として仕方ないとしても、今、憲法改正が政治の舞台で論議されている以上、何も知らないで、政府見解だけをメディアで知るのはいかがなものであろうか。

現在の憲法を「押し付けられた」というメディアのイメージに流されている人も多いと思うが、制定経緯も書かれているのでそれはお読みいただくとして、押し付けだろうとなかろうと、憲法を変えて戦争ができる国にしていいのかどうか、考えてみてほしい。

日本語は(特に会話では)、主語が省略されることが多い。しかし、公(おおやけ)の文章では必ず主語がある。主語が書かれていない文章を見たときにはまず疑ってみることが必要だ。そうでないと、力を持つものの勝手な解釈を許してしまうことになり、弱いものが被害にあう。

今の憲法は、制定過程で日本語と英語で検討されたこともあるが、ちゃんと誰が誰に命令しているのか、義務を負わせているのかがわかるようになっている。

大日本帝国憲法は、天皇が国民に命令する形になっている。それに対して、日本国憲法は国民を定め、その国民が政府(国)に命令する形になっているのだ。だから、民主的な憲法と言われるのである。自分たちの権利を守り、国や政府が暴走するのを防ぐために制定されたのである。

憲法は分厚い本ではありません。難しい文章でもありません。ぜひ読んで、自民党案と比べていただきたい。合わせてこの本を読んでいただくと、自分たちがどのような選択をすべきか明確になると思う。