哲学入門一歩前 モノからコトへ 廣松 渉 1988 講談社現代新書

哲学入門一歩前 モノからコトへ

哲学入門一歩前 モノからコトへ


 廣松の存在論入門である。内容は岩波新書の「哲学入門」と重なるところが多い。本人は難解な思想を簡易に書いたつもりなのだろうが、やはり難しい。


 私が読む限り、モノとは関係であり、認識主体という人間、あるいは自己も関係であるといっているにすぎない。それがモノ(私というモノ)として思念されることが物象化である。


 だからどうだというのか。150年前にマルクスが行っていたことを言い直しただけではないのか。


 それ以上を新書の入門書に求めては行けないのだろうが、われわれの思考をいくら分析しても現実は見えない。彼が解明したように、そのようにしか我々は見ることができない。そのような世界で我々は生きざるをえないのだ。


 これ以上は、彼の本格的な本を読んでから書くことにしよう。
Mon Apr 30 18:35:29 2001