9時から5時まで 9 TO 5 NINE TO FIVE コリン・ヒギンズ監督 1980米

9時から5時まで 9 TO 5 NINE TO FIVE コリン・ヒギンズ監督 1980米
労働時間

抜群に面白いです。

私が就職した頃(約40年前)、勤務時間は「9時から5時まで」でした。そして土曜日は「半ドン」。昼休みは12時から1時までの1時間でした。計算すると、

5日✕7時間+3時間=38時間。

今は、週休二日制です。8時45分から5時15分まで、昼休みは12時15分から1時までで、1日7時間45分。

5日✕7時間45分=38時間45分。

40年間の間に、技術が進歩し、効率化されているはずなのに、結局労働時間は増えているわけです。


ウーマンリブ

ドリー・バートンがセクハラ上司に抗議すると「ウーマンリブは持ち出すな」と言われます。男性中心主義社会(会社)を批判したコメディですが(多分制作側もそう思っています)、それを別にしてもめちゃくちゃ面白いです。

リリー・トムソンが「彼のお得意なセクハラ路線でいびり殺すわ」と言って空想するシーンで、自分がされたこととまったく同じことを上司にするのは、私も身につまされました。なるほど、自分がされたらこんな気になるんだなあ、と思ってしまい、自分の認識の拙さを改めて実感させられました。


改革

上司をかんきんしている間に、3人は会社の改革をはじめます。託児所を作ったり、花を飾ったり、フレックスタイム制を導入したり、身体障害者を雇用したり。それらは「女性目線の改革」だと思いました。それで「仕事の効率」が向上することになるのですが、女性差別がいけないことだとしても、女性の目線だから正しいということではありません。差別を生み出した社会は、その差別の「土壌」が残っていると、差別の廃止が新たな差別を生む可能性があります。

また、差別をなくすためには「差別の告発」が必要です。その告発が次の告発を生み出します。「セクハラ」を認めると、「パワハラ」「モラハラ」などが次々と生まれます。「セクハラを認めるな」とか「セクハラを告発するな」というのではありません。差別の土壌が残っている限り、告発合戦がエスカレートしていくということです。

どこかで「差別のない」「平等な」社会が生まれるのでしょうか。

冒頭で、メールボーイが「この会社は最悪だぜ」と言います。原語は "You'll gona hate this company! "みたいな感じ。今なら「この会社はブラックだぜ」とでも訳しますかね。ホワイトな会社って、あるんでしょうか。会社は利益を求めます。それで儲けが増えるなら、花も飾るし、託児所も設けるでしょう。増えないのなら、差別すらスルーします。資本主義社会ですから。

でも、資本主義社会は「差別」や「家父長制」とは別にあるわけではありません。今の社会に「差別がある」ということが、「昔はもっと差別がひどかった」ということを意味するわけではないのです。そういう思いは、「現状がいちばんいい(少なくとも今のところは)」という現状肯定感につながります。それは「差別」を認めるということです。

若い人は昔を知りません。でも、50歳の人は四十数年間の経験があります。高度成長期ならいざ知らず、経済成長がない(成長するためには別の地域や時間を搾取しなければならない)社会で、「昔に比べれば今のほうがマシ」と思えるのでしょうか。思うにしても、思わないにしても、将来若い人が考えられるように経験を伝えることは必要なんだと思います。若い人も自分で考え、決める時が来るのですから。

新聞などのマスコミや、書籍、テレビ、映画、ネットを信じるより、「自分の経験を信じる」。そういう気持ちがもう少しあってもいいと思います。ネットやニュースで知ったということは、ネットやニュースがなければ知らなかったことです。ネットやニュースにならないことは遥かに多いのです。それなのに、「知った」途端に「経験した」と同じように考えてしまいます。自分の経験や身近な人の話より、ネットやニュースや知らない人の話を信じてしまう。それって何なのでしょう。




[スタッフ・キャスト等]

監督:コリン・ヒギンズ
出演:ジェーン・フォンダ、リリー・トムリン、ドリー・パートン


イヤな上司をやっつけようと、3人のOLが繰り広げるブラック・コメディ。ジュディ、バイオレット、ドラリーの3人は、それぞれ部署は違うが同じ大複合会社で働くOL。酒を飲みながら、自分だったらどうやってあのイヤな上司フランクをやっつけるかなどと大騒ぎしたあくる朝、いつもの通りフランクにコーヒーを入れようとしたバイオレットは、自分でも知らずに砂糖と間違えてネコイラズを入れてたコーヒーを出してしまう……。脚本の良さは勿論の事、ジェーン・フォンダ、リリー・トムリン、ドリー・パートンの、それぞれの個性とそのバランスが絶妙なコメディ映画の秀作。



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