
「こころの時代」解体新書
香山リカのことは余りよく知らないのだが、「香山ココロ通信」というメールマガジンが面白い(メルマガについては別の機会に触れる)ので、買ってしまった。それもサイン本である(!)。
精神科医が、マスコミ等で現代の社会問題を云々するというのは、最近のことだと思うし、時代にふさわしく思う。一昔前なら、政治学者や経済学者、その後は社会学者や教育学者、そして精神科医である。まさしく「こころの時代」なのである。
みんなが関心を持つのは、(この不況といわれているときにも)経済や、政治のことではなく、お互いの気持ち、いや、自分の気持ちなのである。或る犯罪や、社会現象に自分が納得できるかどうか、もっといえば、気持ちよく犯罪者を排除し、社会現象に自分を同化できるかである。自分で納得して不安をなくしたいのである。
それには、いくつかの方法があるが、現代社会においては「科学的」なものでなければ社会の表舞台(マスコミ等)には登場できない。「ココロ」を科学しているのがまさしく心理学(精神医学)なのである。
香山も、精神科医という肩書きがもつ「科学」の香りを敏感に感じているようである。だから、それが持つ力についても慎重である。慎重でありながらも、彼女の感性はそれを乗り越えて、社会現象に言及せざるを得ない。もちろん、その社会現象に対する「正解」や解決方法を提示することはできない。それは精神医学の範疇を越えるからである。
次に、マスコミに登場するのはその答えを提示するであろう倫理学者か、哲学者か、宗教家であろうが、それは期待薄である。それらは「科学」の香りが薄いか、ないからである。問題となるのはその「科学万能」「科学至上」主義である。「科学万能」「科学至上」主義を生み出している生産構造である。「科学の呪縛」から離れた本当の「こころの時代」は存在するのだろうか。
(2000年記)
