
孤独な群衆
昔から読みたいと思っていたのだが、読めずにいたのを偶然古本屋で安価で入手できたのでよんでみた。これがとてもおもしろい。学生時代によんでいたら、社会学を志したかもしれない。
この本は、アメリカにおける文化とパーソナリティの研究であるが、ヨーロッパや日本(アジア)をも引き合いに出しながら、歴史的な社会段階とパーソナリティの関係を述べている。高度成長潜在期・過渡的成長期・初期的人口減退期という歴史段階と、伝統指向型・内部指向型・他人指向型という性格類型を対応させている。その上でどのような社会にも見られる適合様式(自主性)として適応型・自立型・アノミーの問題を論じている。
当時(1960)から、日本人の性格類型として他人指向型であるといわれていたようであるが、リースマンがいうところの他人指向型は現在の方があてはまるように思える。40年前の日本は、まだ農村共同体的な伝統指向型が残っていて(向こう三軒両隣、村八分)、それが西洋民主主義(個人主義)と融合して他人指向的であるような外観を呈していたのではないだろうか。
そして、今日でもそのような日本的伝統を残しつつ、会社における個人のあり方、地域社会における一家族のあり方、若者の文化、学校における友達といじめ等々に他人指向型の典型を見る感じがするのである。
そしてそれらは、限界特異性によって生産の拡大が行われ続ける現代社会(資本主義社会)の消費の論理と見事に適合するのである。
性格類型に価値判断を付けることは間違いである。それは単に学術的な分析によって得られた結果だからである。しかし、それぞれの性格類型が社会(世界)に及ぼす影響とそれらの性格類型を生み出す社会のしくみについては、価値判断を含めた考察と評価が必要であろう。
(2000年記)
