Here and Nowの心理学-今、ここで出来ることから始めよう 海原純子 1998 KKベストセラーズ

Here and Nowの心理学-今、ここで出来ることから始めよう

Here and Nowの心理学-今、ここで出来ることから始めよう


 きわめて実践的な、(自分の)心の病に対する対処法の本である。私は、いくつかの方法を試してみたが、長続きはしなかった。でも、また始めようと思っている。「自己承認」「インナーチャイルド」といった今はやりの言葉が出てくるが、それは現代社会を反映しているのだと思う。


 このような本は、いわゆる「ハウツーもの」に近いが、精神に関する社会状況が厳しく、それに対して適切なアドバイスをしてくれる人がいない現在、このような本は貴重である。このようなノウハウを身につけたいと思うが、これと新興宗教の違いはどこにあるのだろうか。いわゆる「科学的」という違いだけではないだろうか。いま、私はその「科学的」という概念をずらそうと考えている。すると、そこには差がなくなってしまう。残るのは、「自分」という概念である。自己を自己の名の下に承認するか、神の名の下に承認するかである。しかし、自己は社会関係の集合であると考えると、その差も思ったより小さい。人が社会関係の集合体であることと、社会的な役割を演ずることとは違う。自己を見つめることと、社会的な役割との関係に気がつくこと。それは、自分の体が発する言葉にならない信号を感じることであり、それをうまくとらえることでインナーチャイルドの声も聞こえるようになるのであろう。


 まず、自分を愛すること。愛しいと思うこと。それが大切なように思う。
何度か読み返してみたい本である。