2005年の本だが,内容は今でも有効である。
各種資料に基づく,戦中戦後の警察組織の変遷。
監視社会を正当化するための,あたかも犯罪が増加しているかのようなマスコミ操作。
犯罪,あるいは定義もされていない「テロ」を根拠とする監視の正当化。それに伴う外国人等に対する差別の助長。
これらの,監視や,統治,販売戦略等が,ITCの発展によって様相を変えて力を持っていく。蓄積されたデータは,権力のある者の恣意的な活用を可能にする。
確かに,インターネットは既成のメディアとは異なり,国家が監視しようとしても仕切れない特性を持っている。逆に,国家は,個人的な情報を含めて,インターネットに流れる情報を無制限に収集することができる。
このおぞましい,人権を知らぬ間に侵害し続けていく社会の「オルタナティブ」は可能なのだろうか。
その可能性はこの本で示唆されてはいる。
しかし,問題となるのは明確な論理及び理論に裏付けられた,実践の可能性である。
実践の形式は,状況や個人によって様々になり得る。それらの個々の運動が緩い横の連携で,常に繋がっていることが必要だと思う。