あぶ・らぶ 高橋 鉄 河出文庫 1992


彼の本は2冊目だが,当時(1960年代)雑誌以外にマスメディアがない時代,自分の欲求が異常ではないかと悩む人は,今より多かったであろう。その一つ一つに丁寧に答えているのは彼の人格が伺えていい。

彼のフロイト解釈が,今では古いのかもしれないが,今の日本は何でもクスリを出して済ましてしまう精神科医ばかりである。

自分を見つめ直すこと,それが彼の治療である。

そしてそれ以上に「異常なのが正常であり、正常は異常の塊なのである」という真理。人間が様々な個性の塊だというのと同じである。

ネット社会で,いろんな情報が飛び交う現代,このような時代だからこそ,原則的な正しい情報をそれぞれが探す必要がある。

そのためにも読んで損のない本である。