星が吸う水 村田沙耶香 講談社 (2010/2/27)



男性のセックスは単純だと思われているが、それはAVとかの影響で、ちんちんを膣に入れて射精したら終わりと思われている。でも、そんな単純なものじゃない。それを女性の方がわかっているはずなんだが、女性も言わない。

女性の性は、放出するものがないだけでも感覚に、感性に大きく影響される。AVや雑誌、マンガなどに描かれている性関係に女性も縛られている。自分がそれと違うな、と感じた時点で、女性の多くは、「自分が異常なんだ」と諦めてしまう(これは男性も同じだ)。そして、「生きにくい」人生が始まっていく。

今の世の中は、幻想の「正常」を作り出し、それから外れるものを許さない。これだけ情報が氾濫しているのに、いや、情報が氾濫している(と言っても、権力による操作が混じっていることは間違いない。TV局の画一的な報道が、その例だ)からこそと言ってもいい。

人間は、そんな単純ではない。ひとりひとり違うのだ。この小説は、自分にちゃんと向き合おうとする人間を女性の視点から描き出している。相手が女性の場合、男性の場合と2つの小説からなっているが、どちらも主題は同じだ。

もちろん、結論は出ない。なぜなら、精神と肉体を分離し、その精神が肉体を支配している(所有している)という、近代的思考に囚われたままだからだ。ただ、女性特有の感性が、地球(自然)とのつながりを感じている。残念だが、「科学主義」という枠の中であるが。