
ヤクザ映画と、カンフー映画の合体です。
私は血が苦手です。刃物に先端恐怖症のような怖さがあります。だから指を切って血が出るようなシーンは見ることができません。だから、この映画も一度は十数分で観るのをやめました。ジャケットと中身が違うのかとも疑いました。チャプターを飛ばしてみると、可愛い女の子がカンフーをしていました(笑)。
カンフーの演技は素晴らしいです。ブルース・リーとテコンドーとムエタイとジャッキー・チェンが一緒に出てくる感じです(よくわかんないけど)。スタントマン(代役)はないように思いました。いわゆる美少女戦士・ジージャーちゃんは、童顔だからなお素敵。どこまでが子供時代、どこからが少女時代なのか、わからないくらいです。阿部さんの殺陣はまあまあかな(汗)。
ジャッキー映画と同じように、NG集(メイキング映像)がついていますが、現場は実際に血が沢山流れたようですね。とても大変そうです。
最初に「この映画は 特別な子供からの影響と 個人的な想像の融合で制作した 保護者に勇気を そして 世界中のすべての特別な子供たちに すばらしい愛情を」というような監督の言葉があります。「特別な子供」はマサシ(阿部寛)のことであり、ゼン(ジージャー)のことです。いや、この映画に登場するすべての人のことでしょう。そして、監督やスタッフ、この映画を見る人のことでもある気がします。
「特別」を一般化しようとしているのではありません。このような社会と時代がとても特殊だと思うのです。特別な子供たちだけではなく、労働力ならない大人、例えば老人がこのように辛い立場にある社会というのはとても特殊なのです。そこにおける「憐憫」の情というものもとても特殊です。私は他人に対する「思いやり」「哀れみ」がこのような形でしか表現されない社会が「特殊」だと思うのです。
私はゼンに対する世界の人気のなかに、「いやらしいもの」「性的なもの」を感じます。弱い女性に対する強い男性の思いは、優しさからだけではありません。強い男性に憧れる女性も多くいます。男性に頼るのではなく強くなろう、とする女性もたくさんいます。「男女平等」は世界的な共通認識のように報道されています。それを制度(法律)にしなければならないという声も多いようです。障害者に対する認識も同様ですね(老人に対する認識は若干違いますが)。
私はそれらのこと(強くなければならない、平等でなければならない、憐れみ、優越感、劣等感など)が「個人の問題」とされていることこそが問題だと思います。もちろん、そういう感情抱くのは「私」なのですが、その反応の殆どは「文化的」です。何を「嬉しい」「悲しい」と思い、それにどういう反応を示すのか、その多くは社会的に決まっています。なぜなら、それらはコミュニケーションの一種だからです。
楽しいときに楽しい顔、悲しいときに悲しい顔をする「必要(必然性)」はありません。一人でニンマリしたり、顔を歪めたりすることもあるでしょう。楽しいときに楽しい顔をすると、自分がより楽しくなります。痛いときに顔を歪めると痛みに耐えやすくなることもあります。それは自分とのコミュニケーションです。「人と喜びを分かち合うと喜びは倍になり、悲しみを分かち合うと悲しみは半分になる」。人の笑顔を見ると、つられて笑顔になってしまう(あるいは憎々しく思う)ことがあります。落語やお笑い番組で、周りの人の笑い声や笑い声の効果音が自分の笑いの引き金になります。
人間はとことん「社会的動物」です。
[スタッフ・キャスト等]
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ[wiki(JP)]
製作:プラッチャヤー・ピンゲーオ アカラポール・テック[wiki(JP)]
脚本:チューキアット・サックウィーラクン[wiki(JP)]
撮影:デーチャー・スリマントラ[wiki(JP)] アクション監修[wiki(JP)] パンナー・リットグライ[wiki(JP)]
<出演>
ジージャー[wiki(JP)]:ゼン
阿部寛[wiki(JP)]:マサシ
ポンパット・ワチラバンジョン[wiki(JP)]:ナンバー8
アマラー・シリポン[wiki(JP)]:ジン
イム・スジョン
タポン・ポップワンディー[wiki(JP)]:ムン
あらすじ
十数年前のタイでは、ナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)率いる地元最大のマフィアと日本ヤクザの抗争が激化していた。日本ヤクザの大物・マサシ(阿部寛)は、ナンバー8の女・ジン(“ソム”アマラー・シリポン)と出会い、運命的な恋に落ちてしまう。マサシはジンをナンバー8の目の前でさらっていくが、ジンはマサシの身を案じ、帰国を勧める。しかしそのとき、ジンはマサシの子供を身ごもっていた。ジンは1人で娘を産み、禅にちなみゼンと名づける。ゼンは自閉症で脳の発達が遅かったが、2人はつつましくも幸せな生活を送る。やがて美しく成長したゼン(“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン)は、アクションのビデオを観ただけでその技を習得するほど、並外れた身体能力を持っていた。幼馴染みのムン(タポン・ポップワンディー)を相手に、ゼンは秘かに練習を積んでいく。ある日、ジンが末期の白血病に侵されていることが発覚する。ゼンは治療費の工面に頭を悩ませるが、ジンがかつてお金を貸していた記録を見つける。そのお金を返してもらうために、ゼンとムンはリストに載っている人を訪ねていくが、手荒く追い返される。するとゼンは武術で対抗し、借金の回収に成功する。しかし、自分の縄張りで勝手な行動を許さないナンバー8は、ムンとジンを捕らえる。ゼンは2人を救うため、1人でナンバー8のアジトに向かう。するとそこにはマサシがいた。ジンたちの危機を知り、十数年ぶりにタイに戻ってきていたのだ。ゼンたちは、ナンバー8との最終決戦に挑む。
