アイコ十六歳 堀田あけみ著
うまいなあ、河出書房新社は。話題を作るのが。
去年は、『文藝』を買わなかったので、単行本が出てからあわてて読んだけど、まあ、たしかに話題性にどんだ作品ではあった。まるで、An・Anを読んでいるみたい(ちなみに田中氏ば『J・J』に連載中。関係ないことだが、私はJ・Jが大嫌い。J・Jgirlを見るたび胸が悪くなる)。
今度も、まあ、たいした期待もせずに、だだ流行にのりおくれてはいかん、という気持ちで『文藝』12月号が出るのを待っていたのである。
ところがである。う一む。『読める。ベタあまくない。』はっきりいって負けたと惑じてしまった。原因は、もちろん『ぶどう糖が入っていない』からである。非常に素直な文体なのである。
内容は、高校生が書いた「学園もの」だ。ただ、いわゆる「砂浜とタ日、涙と根性」の学園ものとは違う。その違いは、やっばり、高校生自身が書いた、ということにつきるんじゃないかなあ。
おとなが、子供(と、PTAとスポンサー)向げに書いた「しらじらしい」世界じゃないのだ。だからおもしろい。堀田さんも、多分、これを大人むけに書いたのでもなく、高校生向けに書いたのでもないと思う。ただすなおに書いたのだ。日記の延長のようなものなのだろう。そして、それを許したのが17才という年齢だと思う。
ちょっとまてよ、選考委員のおじさんたちは、単に、このめずらしい(忘却の彼方にある)、若さに感動しただけかもしれないぞ。『なんとなく・・・・』のときもいわれたけど、今の若い世代の考えてることがわからない「おじさん」たちが、『なるぼどねえ。今の若いもんは、こんなことを考えているのかあ。』という感じて選んじゃったのかもしれない。
おじさん。『アイコ16歳』や『なんとなく・・・・』を読んで、今の『若者』がわかったなんて、思わんでね。
そこんとこ、よろしく。
(1982年記)
